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2026年路線価の上昇率を地図上で示したイメージ

2026年路線価、東京の上昇率9.4%——路線価から読み解く不動産投資と相続対策

2026年7月、国税庁から2026年分の路線価が発表された。路線価とは相続税・贈与税算定の基準となる土地の評価額で、全国平均は前年比2.9%の上昇と5年連続のプラスとなった。なかでも東京都は9.4%の上昇率で全国トップとなり、浅草・中野・北千住など再開発やインバウンド需要が伸びるエリアの上昇も目立つ。路線価の上昇は相続税評価額の上昇にもつながる。本稿では2026年路線価の全国・東京都のデータを整理したうえで、相続税との関係、投資マンションが相続対策として有利とされる理由を紹介する。

路線価とは?公示地価との違いをわかりやすく解説

路線価とは、毎年国税庁から発表される相続税や贈与税の算定の基準となる価格です。土地に接する道路について評価額が算出され、公示地価のおおよそ80%程度です。

つまりその名の通り「路線(道路)」に価格(評価額)が付く訳です。では2026年の路線価の動向について見てみましょう。

2026年の路線価、全国・都道府県別の上昇率ランキング

2026年の全国の路線価は平均変動率が前年比2.9%の上昇となり5年連続の上昇となりました。都道府県別の平均変動率では最も上昇率が高かったのが東京都で9.4%、5年連続の上昇です。

次いで沖縄県6.6%、大阪府5.1%となりました。以下神奈川県や佐賀県などが続きます。東京は世界的な位置付けにおいても人口、経済力、新線・再開発なども群を抜いており、不動産価格も上昇しており路線価上昇率もトップとなりました。

2位の沖縄は新しいレジャー施設ジャングリアの出現、さらに円安により日本人による国内旅行の需要の高まりなどとインバウンドなどの影響もあり上昇率も高くなっています。

2026年路線価 都道府県別の標準宅地の対前年変動率の平均値 ランキング

順位都道府県変動率
1東京都9.4%
2沖縄県6.6%
3大阪府5.1%
4神奈川県4.5%
4佐賀県4.5%

参照:国税庁「令和8年路線価」

意外な所では佐賀県が4位となりましたが、都道府県庁所在地別の上昇率ランキングでも佐賀県の佐賀駅前通りが17.0%の上昇でトップとなりました。

佐賀駅周辺では大規模な再開発が進んでおり、福岡発展の影響を受け「福岡都市圏」として地価が上昇し路線価も大きく上昇しています。また盛岡、奈良なども観光需要の増加などの影響もあり路線価が上昇しています。

令和8年分 都道府県庁所在都市の最高路線価 上昇率ランキング

順位所在地対前年変動率
1佐賀県 佐賀市駅前中央1丁目 (駅前中央通り)17.0%
2岩手県 盛岡駅前通 (盛岡駅前通主要地方道盛岡停車場線)13.0%
3奈良県 奈良市東向中町 (大宮通り)12.6%

参照:国税庁「令和8年分都道府県庁所在都市の最高路線価」

路線価の上昇率が最も高い地域は?税務署別ランキング

全国の税務署別の上昇率では、長野県の白馬村や野沢温泉などが30%を超える上昇率となり、次いで北海道の富良野が28.0%の上昇となりました。

いずれも観光地である事から、インバウンド増加の影響も大きいと考えられます。つまりインバウンドの動向が不動産の資産価値にも影響している訳です。

2026年路線価 税務署別の最高路線価 上昇率ランキング

順位所在地対前年変動率
1長野県 北安曇郡白馬村大字北城 (村道和田野線)32.7%
2長野県 下高井郡野沢温泉村大字豊郷 (大湯通り)31.3%
3北海道 富良野市北の峰町 (道道北の峰線通り)28.0%

参照:国税庁「令和8年路線価」

東京都内で路線価が上昇しているのはどのエリア?浅草・中野など

東京国税局管内の路線価の上昇率を見ると、浅草が最も高く27.5%の上昇です。浅草は筆者もよく訪れますが平日でもとても賑わっています。世界的な観光地として有名で、やはりインバウンドの影響も大きいと考えられます。

2位は北千住、3位は筆者のオフィスのある中野となりました。筆者は仕事柄色々な街を訪問しますが北千住駅と中野駅周辺はいくつかの共通点がある事が分かります。

まず一つ目は両者とも都心への鉄道交通がマルチアクセス可能で利便性が高い事、二つ目は近年の再開発等により昼間人口の増加、さらに多くの企業や大学も集積しつつあり大型商業施設も多い事などが共通項として挙げられます。

また文京区内の小石川周辺は元々住宅地として人気が高いエリアですが、近年では赤羽や錦糸町、日暮里など元々はそれほど注目されていなかったエリアが都心マンションの高騰により住宅需要が年々押し上げられてきています。

さらにそこに交通の利便性、再開発が加味されて土地の価値の上昇につながっていると考えられます。

2026年路線価 東京国税局管内 上昇率ランキング

順位所在地上昇率
1台東区 浅草1丁目 (雷門通り)27.5%
2足立区 千住3丁目 (北千住駅西口駅前広場通り)24.2%
3中野区 中野5丁目 (中野駅北口駅前広場前)22.4%
4文京区 小石川1丁目 (春日通り)22.2%
5北区 赤羽1丁目 (赤羽駅東口広場通り)21.6%
6墨田区 江東橋3丁目 (錦糸町駅南口ロータリー)20.6%
7荒川区 西日暮里2丁目 (日暮里駅東口広場通り)20.3%
8杉並区 高円寺北3丁目 (高円寺駅北口商店街通り)19.8%
9杉並区 上荻1丁目 (青梅街道)19.7%
10品川区 小山3丁目 (武蔵小山駅前ロータリー)19.7%

参照:国税庁「令和8年路線価」

再開発が進む中野駅周辺(撮影:オフィス野中2026年5月)

東京で路線価が最も高い場所はどこ?41年連続日本一の銀座

東京の路線価のトップは銀座で、日本一でもあり41年連続のトップとなりました。銀座中央通りは銀座のメインストリートとなる大通りです。

銀座三越や松屋銀座、GINZA SIXなどの大型商業施設やシャネル、ティファニー、ブルガリなどのハイブランドショップが立ち並ぶ、日本を代表するブランドエリアと言えます。

2位は再開発の続く渋谷の宇田川町、3位は新宿3丁目となりました。新宿3丁目がふたつあるのは税務署の管轄が新宿と四ツ谷にまたがっているからです。

新宿、渋谷共に東京を代表する商業・ビジネス街であり、再開発も進んでいます。5位は有楽町の晴海通り沿いです。銀座の真ん中で中央通りと交差する通りです。

2026年路線価 東京国税局管内 高路線価ランキング

順位所在地路線価上昇率
1中央区銀座5丁目 (銀座中央通り)53,36011.0%
2渋谷区宇田川町 (渋谷駅側通り)36,4005.8%
3新宿区新宿3丁目 (新宿通り)34,2405.2%
4新宿区新宿3丁目 (新宿通り)31,3607.4%
5千代田区有楽町2丁目 (晴海通り)27,5202.7%

参照:国税庁「令和8年路線価」

*路線価は1㎡当たり、単位千円

路線価の上昇は相続税にどう影響する?課税対象者の推移

昔は相続税がかかるのは「莫大な財産を持っている方だけ」という印象がありましたが、近年は不動産の資産価値の上昇、2015年の相続税の基礎控除額の引き下げ、高齢化が進んでおり亡くなる方の増加などで相続も多く発生している事などから、相続税の課税対象となる方が増えています。

国税庁の発表した「令和6年分相続税の申告事績の概要」によれば、相続税の課税対象は2024年には相続人のうち相続税の課税対象となった割合は10.4%となりました。

課税対象となった割合は年々増加していますが、課税対象額や課税額も増加しています。路線価の上昇は相続税の増加につながっていきます。ちなみに東京都の相続税の課税割合は約20%となりました。つまり東京においてはそれだけ相続対策での不動産取引が多いのではないでしょうか。

相続税課税割合の推移

2020年2021年2022年2023年2024年
割合8.8%9.3%9.6%9.9%10.4%

参照:国税庁「令和6年分相続税の申告事績の概要」

投資マンションは相続対策になる?路線価との関係から考える

相続財産の内訳を見ると、土地・家屋を合わせた不動産資産の合計は約8兆5千億円ですが、現金・預金等もほぼ同額の約8兆5千億円となっています。

不動産資産は課税評価額が実際の価格よりも少なくなりますので現金などと比較すると相続税対策には有利と言えます。また賃貸物件はさらに相続税評価額が少なくなる場合もあり、ワンルームマンションは相続時にも有利と考えられます。

相続財産の金額の割合

土地家屋有価証券現金・預金等その他合計
金額(億円)74,07411,90143,67685,60230,162245,415

参照:国税庁「令和6年分相続税の申告事績の概要」

以上述べてきたように東京都における路線価は上昇していますが、これからもその潮流は続くと考えられます。特に東京都においては相続を背景にマンション購入をする方が多く、その中でも分割しやすいワンルームマンションの需要も年々高まっています。

但し不動産投資の主たる目的は長期安定、資産の保全、安定した賃料収入の確保となります。その観点を忘れずに路線価も含め市場をウォッチする事が大切です。

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路線価の動向をふまえて、実際のエリア選びや投資の判断にも活かしてみましょう。

執筆:野中 清志(のなか きよし)
住宅コンサルタント|株式会社オフィス野中 代表取締役

マンションデベロッパーでの実務経験を経て、2003年に株式会社オフィス野中を設立。特定の企業に属さない第三者的な立場から、首都圏・関西をはじめ全国各地でマンション購入に関する講演・コンサルティングを行う。
居住用マンションから不動産投資(資産運用)向けセミナーまで、年間100本近い講演をこなす「マンション選びの第一人者」。膨大な供給データと開発現場への深い知見に基づいた、先見性の高い解説に定評がある。

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